奈良県と三重県の丁度境にある宇陀の街は、標高約400メートルの大和高原の南端にあります。
朝起きて外へ出ると、駐車場においてある軽トラックの窓に薄霜が降り、太陽の光を浴びダイヤモンドのがちりばめたように、キラキラと輝いています。
そんな、爽快な朝を迎えるたびに、徐々に冬の訪れを感じる今日この頃です。
ガネーシャが寒風摩擦!?
今日は、珍しく朝から、ガネーシャが庭に出て寒風摩擦をしているではありませんか?!
いつもだったら、押し入れでお昼頃まで寝ているというのに、、、一体どうなったのでしょうか?
もしかしたら、これは幻??と目を丸くさせながら、ガネーシャに声をかけました。
「ガ、ガ、ガネーシャ?!どうしたん?朝から、えらい張り切っているやん?」
そうすると、ガネーシャが白い息を吐きながら、「『寒いじめ』やってるんやねん」と、手を止めずに答えました。
「『寒いじめ』??それってなに??」
私が、首を傾げながら、質問をし直すと、
ガネーシャが「これや!」と畑にあるほうれん草を指差して、答えたのです。
冬の野菜「ほうれん草」の防衛反応
コマツナやホウレンソウは、冬でも元気に育ち、寒さや霜によって甘くおいしくなるということ知ってましたか?
多くの野菜は、寒さや霜に当たると傷んでハウスの中で作物ができなくなります。
それは、茎や葉の水分が凍り、それが解ける際に細胞の組織が壊れてしまうからです。壊れた細胞は腐ったり、死んだりするため、葉が茶色く変色します。
一方、コマツナやホウレンソウ、などの一部の野菜は、寒さで凍らないための自己防衛手段をもっています。
寒さに当たると凍りつかないように水分の摂取を控え、細胞内の糖分濃度を高くして身を守ろうとするのです。
「寒じめ」
「でな〜〜、ほうれん草も寒さに当たると、負けたらあかん!と自己防衛反応で強くなっていくわけやん。
わしも、寒風摩擦で身体鍛えよう!と思っているわけや。」
と、ガネーシャが意気揚々と答えたのです。
「あ、あ、、、、
それって「寒いじめ』と違いますがな!→『寒じめ』です。」と心の中で叫んだ。
ここで、やる気を出しているガネーシャにストップをかけることができず、まっ、いいか、、、。そんな気持ちでこの場を後にしました。
この性質を利用した栽培方法を「寒じめ」と言いうのですが、こうして育った野菜を人間が食べると「甘い」と感じるのです。
ビタミンCの含有量も、通常の場合の倍程度になり、まさに冬の代表的な野菜となるのです。
冬に露地で育ったほうれん草は、軸がこれから益々赤くなってきます。
そして、おひたしなどのシンプルな料理にすればするほど、甘みが増してきたことがわかります。
本格的な冬を迎えると、このようなほうれん草を味わうことができるのです。
時折、甘すぎて子供から「おひたしに砂糖入れた?」と言われることもあるぐらい甘いほうれん草を食することもできます。
しかしガネーシャ、知識はいっぱいあるが、田舎暮らしは、まだまだ「甘いの〜〜」と、心の中で叫んでいた朝のひと時でした。
季節をあじわう
会社のブログより