いや〜、と、歳がバレルって??
大丈夫です!田舎では、私はまだまだ若嫁さんで通っていますから…(笑)
さて、今日は田舎の祭りごとについて、お話ししたいと思います。
みなさんは近所の人が亡くなられたら、会社休みますか?
10年前ぐらいまで、そうですね…2日半会社を休まなくてはなりませんでした。
それってどうよ〜?!の世界です。
お葬式は家でやるもの。通夜、お葬式は村の皆さんが全員参加
私がお嫁入りした頃は、都会でも確かに家でのお葬式が主流でした。
しかしながら、組長さんや町内会の会長さんならいざ知らず、近所の方が亡くなられただけで、2日ぐらい有給をもらって休むなんて、はじめはびっくりでした。
要するに、田舎では、まだ葬儀会館というのがなくて、誰かが亡くなられたら、村の人たちが受付、配膳、葬儀会場のセッティングと方ずけ、亡くなられた方の骨を埋める墓堀りの方まで、多種多様の仕事があり、これを村の衆がそれぞれクジ引きで担当を決めるのです。
隣の家の方が亡くなられた場合は、隣の方が葬儀当日に来られるお坊さんの足休め場所(ご休憩所)として、家の一室を解放します。
料理担当になると、配膳給仕、洗い方、料理、というパートに分かれ、通夜から初七日までの食事を買い出しから給仕までするのです。
メニューもある程度決まっていて、豪華な料理ではないのですが、炊き込みご飯や煮染、碗物など全てが、カツオでダシを取るところから始まる手作りで、一回に100食程作ります。
村からのお手伝いの方だけでも1件に1〜2名いますので、100食のうち半分ほどは手伝いの方のまかない食も含まれています。
そして、2日間にわたり、朝8時ごろから夜9時頃まで、途中暇なときもありますが、よもやま話しをしながら、亡くなられた方を偲びます。
面白かったのは、墓氏という担当です。
要するに、亡くなられた方の骨を土の中に埋めるため、担当者がお墓に行って大きな穴を掘るのです。
その昔は、土葬が主流でしたから、穴もたいそう大きく、掘っていると横からもっと昔の人の骨が出てきたとか…
掘るのも深く広く手掘りしないといけないので、時間がかかるからということで、係りの人がお墓までビールを配達しに行くこともあったようです。
家の構造など祭り事仕様
このように、村には公民館や寄り合い場所があまりなかったため、何かの時は、班長さんや区長さんの家での寄り合いになります。
ですから、家の構造もふすまを取ると30畳から成る大広間になります。
基本的に、亡くなられた場合その時点から、区長さんや班長さんが主になって段取りします。
要するに、最後の決断とお金以外はみんなが手や足となって協力していただける訳です。
ありがたいのですが、お葬式前にはかた付け係りさんがやってきて、葬儀会場となる玄関から居間まで掃除をしにやってきてくれます。
また、キッチンでは、炊き出しが始まりますので、当然、寝室以外は村の人や親戚の方々でごった返しています。
プライベートなんてあったものではございません。
いざという時の、お葬式に備えて、自分の喪服はさることながら、座布団、お茶碗、湯飲み、皿、などは最低30客以上の品揃えを用意しておかなくてはいけません。
いまのように100円ショップなんてありませんから、あらかじめ用意しておかないと、大変なことになります。
そして、村の人が手作りで作った、味ご飯や煮染、味噌汁は基本のきといわれる出汁からとり、大量に炊くため、むちゃくちゃ美味しです。
これぞ精進料理!って感じですね。
このように、都会から嫁いできた私にとっては、びっくりするぐらい大変な祭事で、その当時サラリーマンの方が、他人様のお葬式に会社を3日間休むなんて考えれるなかった私でした。
今では、このエリアには数件の葬儀場ができ、ほとんどそこでとりおこなわれることになっています。
これも、時代の流れとともに、地域の皆さんの負担を軽減するために、普通になってきました。昔、母親に『昔はこうだったのよ〜』なんて、話された時、とても滑稽に感じましたが、今となってはこうやって私が書いている次第でして…
思えば遠くに来たもんだ…と、思うこの頃です。