食は閉ざされた心を緩ます。
くるみ亭にお邪魔するようになり、早半年が経ちました。
きっかけは、くるみさんが習ってきた、鉄火味噌作りでした。
鉄火味噌とは、ごぼう、人参、蓮根、生姜などの根野菜をみじん切りにし、赤味噌と胡麻油で丁寧に炒め手間暇かけたふりかけです。
材料を切る事1時間、そして炒めること1時間、一人で黙々とするには、全く楽しくない作業です。ですが、みんなが美味しい〜と言うのでどんな味なのか作ってみたくなりました。
丁度、くるみさん家で「みんなでワイワイおしゃべりしながら作りましょう〜」ということで参加したイベントでした。
6人程の気のあった友人達とおしゃべりしながらの料理教室はあっという間に時間が過ぎ、退屈なみじん切り作業もあっという間の出来事でした。
個々に持ち寄った差し入れのおやつや、コーヒー。くるみさんの心込めた、栄養バランスのとれた食事を囲んでの団欒は、みんなの『楽しい〜(^o^)/』がぎっしり詰まったひと時でもあります。
一つの釜の飯を食う!という言葉があるように、この場に居合わせた人が食を通して一体となり、分かち会えるそんな場所がくるみ亭にはあるのです。
また、見知らぬ人とでも、美味しいね(-_^)の一言で、分かち合える連帯感、共通言語は食と健康です。
食と健康は誰もが、願ってやまない生きていく上での生命線です。
レシピの中に隠された願い
私たちはそう思っていても、仕事に追われ、手間暇かけたお料理を作ることが、なかなか出来ないのが現実です。
時間に追われ、時間があっても、なかなか重たい腰はよっこいしょと上がりません。
なぜなら、理屈ではわかっていても、行動に移せないのは、無意識に手間暇かけても美味しい料理を食べた〜い!と呼びかける気持ちが自分の心の中にないからです。
よく言われる、わかっちゃいるけどやめられない〜。ダイエットとタバコ!みたいな‥
しかし、一旦美味しくて、健康的、そして経済的な料理の味を自分の舌が覚えたら、時間がなくても、なんとか作ろう!という気持ちに勝手になってしまいます。
そう、小さい頃のおかーさんが作ってくれた大好きな手料理、時折、無性に食べたくなりませんか?
それと同じです。
理屈で手料理は健康的とか、経済的といっても、自分の舌が覚えなければ、重たい腰を上げようにも上がりません。
私が時折そのシーズンでつくっている赤飯や紫蘇ジュース、野菜サラダ、マリネなどはくるみさんが私達に振舞ってくれた手料理です。
家に帰ってくるみさんのレシピを見ながら作るのですが、このレシピにもヒントが隠されています。
彼女には19歳のお嬢さんがいらっしゃるのですが、そのお子さんが、一人の時にでも簡単に作れるように考えて、省略出来る作業は出来るだけ省き、いつでもお母さんのレシピが再現されるように考えてあります。
もちろん、これはワーキングマザーのレシピですが、娘を想う母の愛が一杯に溢れています。
次世代に繋ぐ愛
私たちが何気に食べている食事は、母から子にそして子から孫に受け継がれていきます。
それは教育という肩苦しいものではなく、毎日のちょっとした愛情です。
それが、何十年という時を得て受け継がれていくわけです。
そんなたいそうな‥
と、思うかもしれませんが、皆さんの子供さんの中にアレルギー疾患の子供さんがいらっしゃるとしましょう。母親は何としても子供によくなって欲しいと手を変え品を変え、病院、薬、食事療法を試みる訳です。
そんな母親の愛情を子供が受け止めない訳ないは無いではないですか‥。
世代を超えて、子供達が大人になって、もしその子供もアレルギー疾患になったとき、子供は親のしてくれたことを思い、次の子供に愛情が注がれていきます。
今日の何気ない料理一つを取っても同じことです。
私たちは、命を育み次に受け渡す役目のために生まれてきたのですから‥
料理を通じて
一個人の主婦が出来る社会に貢献する事なんて大それた事はできませんが、自分の出来る事から始める。
これがはじめの一歩なんです。
何気ない主婦のお料理一つとっても、片づけ一つにしても、私たちの想いは子から孫に受け継がれ、育んでいくことでしょう。
食を通して、またレシピを通じて、そのきっかけ作りが出来れば最高です。
そして、くるみ亭にはそんなエッセンスがたくさん入った場所なんですね。