たった10枚の年賀状を手に取り、お年玉番号を確認し始めたときのことだった。
「え!!!まじ、まじ??」
思わず声が出た。
最近では年賀状のやり取りもすっかり減って、届くのは仕事関係の慣例挨拶。
世の中も世知辛く、年賀状文化も縮小の一途をたどっている。
そして、私も年賀状はキッパリ辞めてしまっていました。
それでも毎年、「もしかして切手シート1枚でも当たるかも」とささやかな期待を抱いて、年賀状を取っておくのが恒例になっていた。
今日はお年玉の抽選日。そろそろ処分しようと思って番号を確認したら、なんと下6桁の番号がぴったり揃っているではないか。
1万人に1人の確率
当選内容を見ると、カタログギフトとある。
正直、全く興味がなかった私は、つい1等の賞品を見てしまった。現金30万円。
「おしーい!!現金が良かった…」
欲張りな私のため息が漏れる。
でも考えてみれば、いつもなら切手シートさえ当たらないことも珍しくないのに、本当に珍しいことだ。詳しく見ると1万人に1人の確率らしい。
「なんかいいことありそう。いやいや、車とか当たらないといいけどな」
なんて思いながら、これは厄払いになったかもしれないと自分に言い聞かせた。
健康のバロメーター
せっかく当たったのだから、ここは社会貢献をしよう。
そう思って、以前から予定していた献血に、少しウキウキした気持ちで向かった。
実は献血には、少し残念な過去がある。
30代の頃、何度か献血に行ったことがあった。
ところが、指先をチクリと刺されて血液の比重を測ると、「申し訳ないのですが、今日は献血できません」と言われて帰されることが数回続いた。血液の比重が軽すぎたのだ。
そのショックで、しばらく献血から遠ざかっていた。「血液すら提供できないんだ」という残念な気持ちが心に残っていた。
それが50代になってから、思い切ってまた献血に行ってみたところ、無事に献血できるようになっていた。
なんかホッとした。それ以来、献血は私にとって、自分の健康のバロメーターになっていた。
献血にも年齢制限
受付で知った事実に、少し胸がチクリとした。
献血には年齢制限があって、69歳になるともう受けられないという。現在61歳の私には、あと8年しか残されていない。なんとなく寂しい気持ちになった。
問診票のチェック項目を埋めていく。
心臓疾患は?既往歴は?服用中の薬は?最近の予防接種は?
なし、なし、なし、なし。
すべての項目に「なし」とチェックを入れることができた。
健康で良かった。
心からそう思った。
こうやって振り返ってみると、献血ひとつにしても、したくてもできない人がたくさんいるんだなと改めて痛感する。
健康であることの、なんとありがたいことか。
たまたま私の住んでいる市で献血車が来ていたので、さすが田舎というべきか、ほとんど待ち時間なくスムーズに終えることができた。
ほっと一息ついて、帰りにティッシュペーパーやら飲み物やらお菓子をもらう。
なんとなく得した気分。
いや、違う。得をしたのは私ではない。このささやかな行為が、誰かの命を救うかもしれない。そう思うと、2等当選よりも、もっと大きな幸運を手にした気がした。
思いがけない当選と、変わらず健康でいられること。
当たり前のようで、決して当たり前ではない日常に、心から感謝した一日だった。
