すっかり春らしくなり、桜舞い散る季節になりました。
あれは、1年前のまだ春の足音が聞こえ始めた頃だったでしょうか、私は娘に南米旅行に一緒に行く?と話を持ちかけたのでした。
実は、その当時は、まだ薬学部5年生で、国家試験を残すところ1年となったある日のことでした。
お金に替えがたい価値がある
私は、国家資格試験が終わった後、1ヶ月間発表までの時間があり、その期間に学生最後の旅行をした方が良いと考えたからです。
彼女は合格すればそのまま4月から就職し、関西を離れて北海道に行ってしまいます。であれば、せめてこの1ヶ月間、一緒に楽しい思い出を作りたいとも思っていました。
南米旅行は費用が普通の海外旅行よりもかなりかかるだろうと予想していました。実際ツアーを検索してみると、ウユニ塩湖とマチュピチュ、ナスカツアー2週間で150万円ほどでした。娘が友達と一緒に行くのであれば誘いにくいというのが本音でした。大学生の身分でこれだけの金額を用意するのは難しいと考えていたからです。
南米旅行をするにあたって提案したこと
一度は高額な海外旅行を中止したのですが、一日考えた後、「ママ、行くわ」と返事があったのが去年の2月でした。
私がその時点で伝えたのは以下の4点です:
- 費用は最大で150万円。一旦、私が立て替えるから、働き出したら返済して欲しいこと。
- 以前から娘も行きたいと思っていた南米に行けること。ちょうど日本の裏側で、かなり遠く距離、費用や時間を考えると、このチャンスを逃したら、なかなか行けないということ。
- 私も年齢と共に、この先一緒に旅行ができるかどうかわからないので、長期間旅行はこれが最初で最後かもしれないこと。
- 就職、結婚、出産などのライフイベントが今後起こり得る今、ゆっくり時間を取るのがなかなか難しくなるのではないかということ。
本気でしたいかどうかは、お金で推し量ることが出来る
費用については、娘にプレゼントするのではなく、自分が親に借金をしてでも行ってみたいかというところがポイントでした。私が全額出すには金額が大き過ぎますし、既に娘は24歳になっており、十分大人です。春から就職すれば、薬剤師としての収入も一般職よりも多く見込めます。なので、本気で行きたいかどうかを問いたかったのです。
とは言え、かなりの金額です。娘は1日かけてこの金額を私から借りるかどうかを考えました。
そして、翌朝一番の返事は「行くわ!」でした。
決心してからは本当に旅行に行くまで1年以上あったのですが、彼女の意思は変わらず。むしろ、受験を乗り越える励みとして「南米旅行」を楽しみにしていました。
高校の修学旅行以来、久しぶりの海外旅行となる娘にとっては、本当に楽しみだったに違いありません。
このように、娘にとっても私にとっても、まだ見ぬ南米への期待が膨らんでいったのでした。
南米の旅行費用は?
予定していた最大150万円というツアー費用も、ネットを使った予約や英語のツアーを利用することで大幅に削減することができました。
大まかなツアー費用は以下の通りです:
- 関西発、南米ペルーまでの飛行機代 35万円(アメリカ乗り換えのダイレクト便)
- 南米内での4回に及ぶ飛行機代金 12万円
- マチュピチュ 8万円
- ウユニ塩湖ツアー 15万円(塩ホテル2泊と観光)
- ナスカツアー 5万円
- 食事 4万円
- 宿泊 10万円
- タクシーなどの雑費 2万円
ツアーを自分で組んでみて、行きたい所はほとんど観光できましたし、ホテルも南米の中ではなかなか良いホテルだったので申し分ありませんでした。加えて、ウユニ塩湖では塩のホテルがアップグレードとなり、そのホテルに2つしかないドームテントの部屋での2泊は、旅の魅力をさらに高めてくれました。
娘との旅はかけがいのない旅の思い出
皆さん、90万円という旅行費用を聞いて驚かれる方が多いのですが、私にとっては代え難い娘との思い出となりました。
次回はいつ一緒に行けるかわかりませんが、娘は「また一緒に行こう♪」と言いながら、桜舞い散るこの日に、新天地に向かって進んで行きました。
「そうだね。また行こうね」
と願いながら、娘の背中を見送る母でした。