「ギャー!」
時計を見れば既に7時半。
8時始業なのに、今朝は寝坊してしまいました。
大慌てで布団から飛び起きたものの、いつもと違って気持ちが妙に軽やかです。
実は、昨晩遅くまでかかって、ようやく南米行きの航空券を手に入れたから。
5時半に一度目が覚めたものの、また眠りに落ちてしまったのも、行きたかった旅の一歩を踏み出せた安堵感からかもしれません。
南米への思いが芽生えたきっかけ
6年前、友人がマチュピチュとウユニ塩湖の旅の写真を見せてくれました。
「歳はお互いとっていくもんだから、もし行きたいところがあれば、遠い場所から優先して行っておいた方がいいよ」という言葉が、私の心に深く響いたのです。
それ以来、「今しかない」という思いが私の中で大きくなっていきました。
毎年誘われるハワイでのゴルフ。大好きな場所なのですが、手軽に行ける場所だからこそ、「いつでも行ける」という思いがあるのです。
でも南米は違います。最短でも24時間、アメリカで1泊すれば40時間もかかる旅。費用も時間もさることながら、そこにいく体力が必要になってきます。
これは本当に「今」しかない旅なのです。
娘との最後の長旅
来年2月末、娘の国家試験があります。発表まで1ヵ月あるこの貴重な時間。「一緒に南米に行かない?」と娘を誘ってみました。実は娘も高校生の頃から南米への憧れを持っていたそうです。
ツアー費用はざっくり150万円という費用を伝えると金額の高さに身体がのけぞっていましたが、一晩考えたあとの返事は「ママに借金してでも行くわ!」とキッパリ。
4月からは就職で遠方に行く娘との、おそらく最後となる長期旅行。
2週間も休暇が取れる機会も、これが最後かもしれないと娘も考えたのでしょう。
母娘で行く特別な旅はパッケージツアーではなく、費用も抑えつつ体力や安全面に考慮した、自分たちだけのオリジナルプランを組むことにしました。
計画と不安の日々
最大の心配は高山病です。マチュピチュもウユニ塩湖も標高3,000mを超える場所。毎日が富士山の頂上での生活するようなものです。
私も富士山登頂にあたり32,000mを超えたところで吐き気と頭痛に悩まされましたし、娘も高校生のときに修学旅行で行ったスイスのユングフラウヨッホの登山列車では頭が痛くなって途中で帰ってきたと聞いています。
なので、十分な休息を取りながら、徐々に高度に慣れていくスケジュールを組まなければなりません。
関西からリマまでは往復最低6回の乗り継ぎ。マチュピチュやウユニ塩湖まではダイレクト便でさえも加えて5回にもなります。
全ての航空券の予約は緊張の連続でした。
パスポート情報の入力ミスは許されません。格安チケットは変更が効かないため、慎重に2人で確認しながら進めました。
昨夜は夜11時までスケジュールとにらめっこしながら格闘しましたが、ようやく全行程の航空券を押さえることができました。ウユニ塩湖の塩で出来たホテルも2泊予約できて、長年の夢が一歩近づいた気がします。
遠い南米への旅。誰もが行けるわけではない、誰もが望むわけでもない特別な冒険。
今日は、その大きな一歩を踏み出せた喜びに包まれながら、穏やかな1日を過ごしています。
これから始まる母娘の冒険が、きっと私たちの人生の宝物になることを確信しています。
温めてきた夢が、ついに現実への第一歩を踏み出した朝でした。