昨日はバタンキューで眠りにつき、朝一番に確認したのは足の疲労度でした。幸いずいぶん回復しており、筋肉痛もなかったのでほっと一息。
天気を確認してみると、お昼以降は再び雨とのこと。早く熊野大社に着きたいという気持ちが再び湧き上がってきました。
エスケープルートがあるよ
実は、昨日宿の向かいにある商店のおばさんと話していたら、「最近はほとんどが外国の方で、会話と言えばサンキューだけ。本当はもっと話したいんだけど」と言って、「まぁちょっと座りなさいよ」と雑談が始まりました。
久しぶりの日本語での接客は、おばさんにとっても私にとってもとても楽しいものとなりました。
「明日はどこまで行かれるの?」と聞かれたので、「ここから終着点の熊野大社までを目指します」と答えました。
今日は雨だったので大変だったという話をしたら、この目の前のバス停から途中まで朝7時半にはバスが出ているとのこと。これで少し距離を短くしたら楽に歩けるよ、とアドバイスをいただきました。
実は、もし体力がなく歩けなくなったら、途中からエスケープルートとして、国道と熊野古道が交差する道に出てバスに乗るという手段は知っていました。ですが、バスにはあいにく時間があるので、その時間まで国道で待たなければなりません。
汗のかいた冷え切った体でバスを待つのも厄介だなと考えていたので、このおばさんのアドバイスはとても参考になりました。
宿に戻って色々と検討し、とりあえず体力温存を図ることにしました。
熊野古道は熊野本宮大社・那智大社・熊野速玉大社の三山を目指すお遍路
ここで全体的な話をすると、熊野古道には
・田辺から本宮を経て那智新宮に向かう中辺路(なかへち)
・高野山から熊野に向かう小辺路(こへち)
・伊勢と熊野を結ぶ伊勢路
・奈良県の吉野から大峰と本宮をつなぐ山伏達が通った厳しい修行の道、大峰奥駈道
など、様々なコースがあります。
中辺路コースの歩き方
今回歩いた道は中辺路コースで、出発地点の滝尻王子バス停から熊野大社まではバスで概ね2時間(バス停で止まるため)、車では1時間であっという間に到着してしまいます。
熊野古道に沿って山間を抜けるように国道が整備されていて、定期的にバスが走っています。
観光客が沢山訪れるとあって、所々でリタイアする人、もしくは体力に応じて近くから歩く人と、スタート地点と終点を自分で選ぶことができます。
体力がなくてゆっくりと歩きたい場合は、発心門王子から熊野本宮までの3時間半のコースもあります。また、熊野古道を全て制覇したい人は、区間に分けて少しずつ訪れて歩くこともできます。
中辺路コースはほとんどがきちんと整備されており、途中に標識やコース番号、各王子の説明プレートなどもあり、細やかな配慮がなされています。
スタート地点は1から始まっていたので、初めは番号を数えながら楽しんでいたのですが、目的地の本宮まで75あるということを途中で知り、くらっときました。
熊野の山々は緑の海のように奥深く奈良まで広がっています。
時折、電波が通じない所もありますが、昨日のような雨の日でも、たくさんの人が本宮を目指して歩いていました。ほとんどが外国人で交わす言葉は英語。「ここは何処だ?」って感じで、やはり世界遺産は凄いなと思いました。
トイレもポイントポイントに設置されており、田辺市熊野ツーリズムビューローから出されている無料の地図冊子が、どの情報よりも確かで役に立ちました。この冊子は到着されたら必ず入手されることをお勧めいたします。
昨晩は宿のおじさんから、立ち寄るべきポイントをいくつか教えていただきました。
その中でとても印象的だったのは、「熊野古道を歩いて参拝される方は選ばれし者です。どうか楽しんでいってください」という言葉でした。
また、本宮に到着された際は、鳥居をくぐる前に、汗や泥で体も衣類も汚れているだろうから、自分は今こうやって古道を歩いてここまでやっていました。「払えたまえ、清めたまえ」と祈りつつ鳥居をくぐって下さいとアドバイスをいただきました。
昔の人々がそれぞれの思いを胸に参拝の道を歩まれた気持ちに思いを馳せることで、熊野本宮での参拝も一層格別なものとなりました。
朝一番に宿のお母さんに作っていただいたお弁当は、シンプルなおにぎり弁当で、登山中もとても食べやすかったです。「熊野古道では途中で餓死した旅人もいたから、お弁当を食べる前に必ず米粒を少しだけでも供えてくださいね」と言われたことも、この道の歴史を感じさせる思い出となりました。
さぁ、2日目出発だ!
ようやく旅の全体像を把握した私は、地図を片手に歩き始めるのでした。
おいおい、今頃かい!
こちらも合わせてお読みくださいね。