私が小原流の生花を習いはじめて十数年の月日が流れました。
先日は研究会と言いまして、年に5回程行われる、講師先生を織り交ぜての勉強会と試験の日になります。
花材指定による50分間の生け込み、そして、小原流の本部から来られた講師先生の採点と講評になります。
日々鍛えられるアウトプットの生け込み
ただ、なんとなく生け花を習っているでは、長年続けていると飽きてきてしまします。
そこで、研究会に参加すると、2〜3カ月に一度勉強ということで、試験があります。
試験時間の50分間の生け込みは、緊張する瞬間でもあるのです。
なぜなら、同じ花でも生き物ですから、色、大きさ、趣きが全く違います。
ですから、ざっくり言うと、同じ問題も回答も無いということなのです。
今日の花材は、桃、雪柳、アイリスでした。
どんなに練習を積んでも、同じ形の花に遭遇することはありません。
ですから、上級者になればなるほど、花でのあたりハズレによって採点が左右されることもあります。
そして、この50分間はあっと言う間に過ぎていってしまいます。
全員が凄く集中しています。
この季節にしか出会わないもの
採点の後、講師先生からの講評がありました。
「みなさんは、もちろん良い点をととるために、切磋琢磨して日頃生け花の勉強に励んでいらっしゃると思いますが、点数だけでお花を習うことは、とてももったいないと思います。
春には春の、夏には夏にしか出会わない花がたくさんあります。
この出会いを大切に、季節を感じてみてください。」と
桃の花
私は桃の花を生けこむのがあまり好きではありませんでした。
なぜなら、枝がまっすぐ伸びて変化に富んでいないので、面白くないのです。
しかしながら、桃の花はこの時期にしか生け込むことのできない唯一の花材で、確かに、この十数年間
で、この枝を花材として勉強するのは、20回にも満たしません。
生け花は、この瞬間にしか出会うことのできない季節の花を、自分の腕とセンスで生けていきます。
ひな祭りの花材に使われる桃の花は、桃色といわれる名のごとく、可愛らしく凛とした表情で、女の子の節句をお祝いします。
まっすぐ伸びた枝は、伸びやにスクスク成長しますようにと、ご両親の願いが込められているのです。
取り合わせのアイリスは紫色でアクセントとなり、白い雪柳は花吹雪が舞っているがごとく、春の息吹きが感じられる生け込みでした。
日本の文化に触れる
最近では、生け花を大きな花器でいけることが少なくなってきています。
これは、床の間という存在が少なくなり、花を愛でる場所が少なくなってきているのも事実です。
しかしながら、ちょっとしたお散歩や外出時にふと野に咲く花を眺めてみてください。
こんな風情を感じるのも、日本に産まれ、四季折々を体験しているから感じられるだと思います。
今日から3月ですね。
そして、日本では弥生という月になります。